専門外来:毎週金曜日午後、第1・3土曜日午前
※症状が安定した継続処方は他の曜日でも可能です。
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リウマチ科
Medical
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関節リウマチは膠原病の1つです。人間の体にもともとある免疫細胞は、外から侵入してくる細菌・ウイルスを退治してくれます。しかしこの免疫細胞が間違って自分の体を攻撃してしまう病気があり、それらをまとめて「膠原病」といいます。
どんな種類の免疫細胞が、体のどこを攻撃してしまうかによって症状が変わり、病気の名前も変わってきます。
初期には“朝のこわばり”“手のはばったさ”“指のむくみ”などの自覚症状に引き続き、関節炎症状が数週間程の経過で顕著になります。一般的に関節リウマチでのこわばりは1時間以上、ひどい場合は起床後から午前中いっぱい症状を示すこともあります。
関節症状は関節内部を裏打ちしている滑膜(かつまく)が炎症によって腫脹することによって発生します。関節の“疼痛(痛み)”“腫脹(腫れ)”“発赤(赤み)”“熱感”はいずれも炎症の4兆候と言い、滑膜炎の程度を示す指標にもなります。病気の初期から症状を示す関節は手指の関節、特に近位指節間関節(PIP関節:いわゆる第二関節)や中手指指節間関節(MCP関節)、手首の関節が多く、そのほかにも膝、肩、肘、足趾、顎関節、頸椎など複数の関節に同時多発的に症状を示すことが多くなります。また、左右対称性に症状が発現することが一般的です。
※遠位指節間関節(DIP関節:いわゆる第一関節)に症状、構造の変化を認める際は、まず手指の変形性関節症を疑います。
関節において炎症が長期に存在すると関節自体の構造に変化を来します。炎症を起こした関節近傍の筋肉や靱帯、腱が収縮と萎縮をきたし関節は過度な屈曲や伸展に至ります。その結果特有の関節変形を示します。また、炎症によって関節面を支えるクッションの役目を果たす軟骨が摩耗し、さらに骨と骨とが接触、破壊や融合した結果、非可逆性の変形を来すと言われています。
関節リウマチの様な炎症性疾患は、時折全身倦怠感や微熱、体重減少などの症状を示すことがあります。ただし、関節リウマチ特有の発熱の場合38度を超えることはまれです。
関節リウマチは関節疾患としての特徴とともに、全身性の内科疾患である膠原病としての側面を持っています。関節以外の症状で代表的なものは皮下結節、皮膚潰瘍や眼症状(強膜炎など)、末梢神経障害(多発単神経炎)などが挙げられます。特に一定の割合で間質性肺炎(リウマチ肺)や胸膜炎などの肺障害を伴う患者様もおり、より内科的なケアが必要になります。
リウマチの診断は、症状ならびに血液検査やX線検査の結果をもとに総合的に行われます。
≪病気を診断するための検査…RFと抗CCP抗体≫
ヒトIgG Fc部分に対する自己抗体(自身を攻撃する因子)で、関節リウマチの患者様の約80%に検出されます。ただし、健常者でも5~15%陽性を示し、関節リウマチ以外の疾患、例えばB型肝炎などの慢性肝疾患、甲状腺疾患、その他の膠原病(特にシェーグレン症候群)でも陽性を示すことがあり注意が必要です。また、加齢により陽性率が上昇します。
関節リウマチ患者様の約60~70%で陽性を示します。一方で他の疾患で陽性になる率は低く、疾患特異性が高く、RFよりもさらに信憑性がある検査です。また数値が高値な程、関節破壊が速いという研究報告があります。
※上記のRF,抗CCP抗体がいずれも陰性の関節リウマチ(Seronegative:血清反応陰性)の関節リウマチも存在します。
≪病気の活動性、治療効果を判定するための検査…CRP・血沈・MMP-3≫
いずれも体内の炎症の程度を検出するための検査です。CRPは3日から1週間程度の急性期の炎症、血沈は数週間の慢性的な経過で上がり下がりするため、両者を組み合わせて計測すれば、大体の治療薬の反応や治療効果の深さを類推することが可能です。また、感染症などの早期発見にも有用です。
滑膜細胞から産生される蛋白分解酵素。活動性の高い関節リウマチでは増殖した滑膜から多量に分泌され、循環血液中に分泌されます。関節リウマチに特異性が高く、疾患活動性、関節破壊進行の予後予測因子として有用です。
≪治療薬による副作用、合併症を警戒するための検査≫
関節リウマチの治療薬には様々な副作用があります。特に血球異常(白血球減少、貧血、血小板低下)、肝機能・腎機能異常には注意が必要です。また、大半の抗リウマチ薬には免疫抑制作用があり、微生物(細菌・真菌・抗酸菌(結核)、ウイルス)への感染にも目を配らないといけません。また、ステロイドの使用により血糖値上昇、コレステロール上昇も生じることがあるため関連した血液検査を定期的に行う必要があります。
関節リウマチの画像診断の基本になります。レントゲンの撮影機器があれば、比較的簡単に実施が可能です。ただし、早期の関節リウマチでははっきりと所見を示さないものもあり、注意が必要です。また、関節リウマチに合併する間質性肺炎や、薬剤による呼吸器合併症にもCT検査とともに有用です。
最近では、より早期の診断を目指し、アメリカリウマチ学会 ( ACR ) /ヨーロッパリウマチ学会 ( EULAR ) による分類基準が用いられています。
1つ以上の関節腫脹を認める(ただし、他の関節腫脹を来す疾患を鑑別)
罹患関節数 | スコア(0-5) | リウマトイド因子or抗CCP抗体 | スコア(0-3) |
---|---|---|---|
=1 大関節 | 0 | 陰性 | 0 |
2~10 大関節 | 1 | 低値 | 2 |
1~3 小関節 | 2 | 高値 | 3 |
4~10 小関節 | 3 | 急性炎症物質(CRP or ESR) | スコア(0-1) |
≧11(含む1以上の小関節) | 5 | 正常 | 0 |
症状の持続期間 | スコア(0-1) | 異常 | 1 |
<6週間 | 0 | ※各項目の加算が6以上の場合にRAと診断 | |
≧6週間 | 1 |
No
(スコア5以下)
RAと診断できない
Yes
(スコア6以上)
RAと診断する
関節リウマチの治療の柱は①関節の安静、負担の除去 ②薬物療法 ③手術療法 ④理学療法(リハビリテーション)が挙げられます。その中でも特に薬物療法が関節リウマチの治療の中心となっています。
当院では、MTXを中心とした経口の抗リウマチ薬の他に、生物学的製剤による治療も実施可能です。
≪薬物療法について≫
代表的な抗リウマチ薬は『免疫調整薬』と『免疫抑制薬』に分けられます。
メトトレキサート(MTX: Methotrexate)は数ある抗リウマチ薬の中でも最も使用頻度が多く、実績がある薬剤です。メトトレキサートは葉酸拮抗作用を持ち、元々は血液がんなどに用いられてきましたが、関節リウマチに効力を発揮することが解明されてからは、関節リウマチ治療の中心的な薬剤に位置づけられています。決められた用量を週1日から2日に分けて服用し、毎週繰り返すことが基本です。
特に高齢者、妊婦(挙児希望者を含む)、重度の腎機能障害、がん治療中の方、感染症罹患中の方は使用を控える必要があります
上記のメトトレキサートを使用しても関節炎が制御できない場合や、当初から深刻な関節病状の場合、あるいは合併症(腎障害など)のため薬剤の選択が困難な場合に生物学的製剤を選択することが推奨されています。
生物学的製剤とは、関節リウマチの病態に関わるTNFα、IL-6などの活性物質(サイトカイン)を中和する薬剤です。抗サイトカイン療法ともいわれ、遺伝子工学の手法を用いて開発されています。
細胞の内側に存在するJAK(Janus kinase:ヤヌスキナーゼ)という酵素を阻害することで複数のサイトカイン(前述のTNFαやIL-6などの活性物質)を抑制し、炎症や関節破壊を抑える薬です。経口薬でありながら生物学的製剤同様の効果が期待できる薬剤です。副作用として、感染症、特に帯状疱疹の発症率が有意に高く、その他にも血栓傾向、肝障害、血球減少などに注意が必要です。
現在5種類のJAK阻害薬が使用されています。
その他、ステロイド内服、非ステロイド系炎症鎮痛剤などによる薬物療法があります。安全を第一に考え、個々の患者様に合わせてお薬のご案内をします。