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しみはしみでも、、その①しみの種類編|南越谷駅徒歩1分の皮膚科・美容皮膚科|咲皮ふ科クリニック

しみはしみでも、、その①しみの種類編

当院でも『しみ』のご相談が多いのですが、ここでしみの種類を少し解説いたします。総じて、『境界がはっきりしていて色の濃いものの方が治しやすく(=同時に治療法もいくつかあり)』、逆に『境界が不明瞭で色の薄いものは治しにくい』と言えます。

今回はその①としてしみの種類からまとめ、その②ではそれぞれのしみの治療方法をまとめていく予定ですのでしみでお悩みの方はご自身の症状と照らし合わせて参考にされてください。

代表的なものはおおむね以下の①~⑧の8つに分類されます(血管腫は除いています)。これらが一つではなく複数混在している場合も少なくなく、しみの治療は診断から治療に至るまで非常に難しい所以です。

⓪用語解説;頻繁に出てくるメラニン、メラノサイト、メラノソームの3つの用語について簡単に解説します。

メラノサイト(色素細胞)は皮膚では基底層と毛母(毛包の一部)に分布します。細胞内にメラノソームを含みます。メラノソーム内でメラニンが生合成され、成熟したメラノソームはメラニン顆粒として隣接する表皮細胞である基底細胞や有棘細胞へ渡されます。メラノソームの供与を受けた基底細胞は,紫外線から DNA を守る働きをします。ですので色が黒いことは悪いことばかりではなく、一般に色白の方や白人の方が皮膚癌の発生率が多いのはこのためです。人種による色調の差異は,メラノソームの数と大きさにより、メラノサイトの分布や密度に人種間の差はありません。

①老人性色素斑(日光黒子)

一般にしみといえばこれを指すことが多いです。顔面、手の甲、前腕などに比較的辺縁がはっきりした褐色斑として認めます。発症の要因は、㋐紫外線により表皮細胞、メラノサイト、真皮線維芽細胞に異常が生じ、表皮細胞とメラノサイト増殖シグナル及びメラニン生成シグナルが増強すること、㋑紫外線暴露が一つの原因となり遺伝子変異が生じていること、㋒皮膚の慢性の炎症、が主なものです。このしみに限らず紫外線のダメージを受けた皮膚では真皮層での弾性線維の変性が目立ちます。

②脂漏性角化症

『いぼ』と言われることも多く、茶色い結節として顔面や頭皮など全身どこにでも認められるものです。老人性色素斑から移行する場合もあります。表皮細胞の増殖が認められ,上方に盛り上がりながら増殖して、さまざまな程度に表皮細胞にメラニンの顆粒の増強を認めます。稀に皮膚の悪性腫瘍などと見分けがつきにくい場合もありますので心配な方はダーモスコピーという拡大鏡で診てもらうといいでしょう。

③肝斑

多くは淡い褐色調の斑が下眼瞼を避けて両頬に対称性に帯状に見られます。頬や額にもできることがあります。肝斑については診断においても治療においてもとても議論が分かれるところですし、画一的に肝斑と診断していいものでもなく、肝斑にも広義の肝斑と狭義の肝斑とあります。30代後半以降の女性では7割くらいの方に重症度はあれど見受けられる症状です。老人性色素斑や脂漏性角化症と異なり、細胞の増殖はなく、皮膚基底層のメラノサイトの増加と表皮細胞へのメラニンの顆粒の増強、真皮ではメラノファージの増加と毛細血管の拡張が認められます。発症や増悪には、メラノサイトのメラニン産生の活性化に女性ホルモンの関与や紫外線暴露が主なものと考えられています。

④雀卵斑

一般に『そばかす』と言われます。若年で発症し、顔面の正中部に小型の色素斑が散在し、紫外線暴露で悪化します。日本人ではMC1Rという遺伝子変異が主な発症原因で、メラノサイトが活性化し,基底層においてメラノソームの著増を認めます。本症のメラノサイトは樹枝状突起が発達し,機能も亢進しているが,数は増えていません。

⑤くすみ、色素沈着

くすみの代表は、目の下をこする癖のある方が目の下が茶色っぽくクマのようになってしまうケースです。これは、頻回の摩擦による刺激によって、その部分の皮膚にメラニンが沈着したものと考えられます。

同様に、顔の一部などに日焼け、湿疹やざ瘡(にきび)などの炎症を起こし、肌が修復されるときにメラニンの沈着が起こることがあり、色素沈着と言います。 通常は、日焼けや炎症が収まって、一定期間を過ぎると生成されたメラニンはお肌のターンオーバーなどに伴って排出されるのですが、何らかの理由によってそれがうまくいかなかった場合に、くすみや色素沈着として残ってしまうことがあります。

⑥後天性メラノサイトーシス(ADM)

前額側面,頬骨部,鼻翼などに灰褐色の直径 1 〜 3 mm の点状色素斑が多発し,次第に色調が濃くなります。思春期〜中年の女性,とくに日本人や中国人などのアジア人に好発します。真皮上層にメラノサイトの増加を認めます。

⑦太田母斑

淡青色の色素斑が,瞼けん裂,眼瞼,頬に片側性に生じます。真皮上層〜中層にメラノサイトが散在し,基底層ではメラニン顆粒の増強を認めます。

⑧扁平母斑

境界明瞭な直径 0.5 〜 10 cm の淡褐色斑です。多くは生下時に出現し,その他遅発性で思春期頃に発症するタイプもあります。単発のものは健常人でも約 10%でみられます。メラノサイト系母斑細胞の増加はなく,基底層でメラニン顆粒の増強を認めます。

☝①~⑧すべてに共通するのはやはり、紫外線曝露が発症もしくは悪化因子になっていることです、まずは真冬でもSPF20以上のサンスクリーンを適量塗布するなど遮光をしっかりしておいた方がよさそうですね。

当院では皮膚科から美容皮膚科までなるべく多くの選択肢をご提供し、当院完結型の皮膚科をモットーとしてはおりますが、、、美容皮膚科に関しては『しみ』のお悩みひとつとっても実際は様々な症状を合併していることが多く、複数のレーザーを含む医療機器が必要なことが多いですので、現状では当院ではまかないきれないことも多く他院にご紹介させていただくこともございます。他院ご紹介のケースでも極力担当させてただき一貫して治療にあたらせていただいております。自費診療の多くは疾患ごとのエビデンス(信頼性の高い研究)に基づいた治療のガイドラインが整備されておりませんので、次になされる治療は次に担当された先生の方針(及びその施設にある施術や機器のバリエーション)次第なところがあるからです。保険診療における治療方針は新薬など最新の治療を除いてはほとんどの皮膚科医が共通の知識として持っていますが、自費診療においては同じ症状でも治療のバリエーションは多岐にわたり、患者さんが正しい知識が得られにくい、もしくは情報を正しく理解できない場合が多いようです。そういった背景もあり、今後も細々とはなりますが、自費診療における施術やスキンケアに関するコラムでは知識や情報を整理してわかりやすくお伝えしていければと思います。初診の患者様でお悩みが多岐にわたる場合にはお悩み事に適した治療やスキンケアを記載したプランニングシートを(時間の許す限りとはなりますが、、💦)なるべくお渡しするようにしていますので、ご自身の治療のナビゲーションマップとしてご活用いただけましたら幸いです。

今回の内容は専門用語が多く、難しい内容となってしまいましたが、用語の意味合いが変わらないように、あえてそのままで記載させていただいています。外来でもお気軽にご相談くださいませ。※しみのご相談は日曜日、第3土曜日、不定期の火曜日のみとなります。できましたらご相談のみの場合も事前にカウンセリングのご予約をお願いいたします。

キーワード:老人性色素斑、脂漏性角化症、肝斑、雀卵斑、くすみ、色素沈着、後天性メラノサイトーシス(ADM)、扁平母斑、紫外線曝露、美容皮膚科・レーザー指導専門医、清村咲子

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