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アトピー性皮膚炎の新薬「アドトラーザ®」が承認|南越谷駅徒歩1分の皮膚科・美容皮膚科|咲皮ふ科クリニック

アトピー性皮膚炎の新薬「アドトラーザ®」が承認

アトピー性皮膚炎に適応がある生物学的製剤としては3剤目となる「アドトラーザ®皮下注150mgシリンジ」(一般名:トラロキヌマブ)が、「既存治療で効果不十分なアトピー性皮膚炎」の効能・効果で承認されました。

アトピー性皮膚炎はデュピクセント®(※15歳以上)→経口JAK阻害剤のオルミエント®(※15歳以上)、リンヴォック®(※13歳以上)、サイバインコ®(※13歳以上)→ミチーガ®(※13歳以上)と新薬ラッシュでしたが、それに次ぐ全身療法の新薬となります。

作用機序と効果

アトピー性皮膚炎の病態に重要な役割を果たすサイトカインであるIL-13を特異的に中和することを目的に開発された、ヒト抗ヒトIL-13モノクローナル抗体です。作用点がデュピクセントと似ていますが、デュピクセントはヒト抗ヒトIL-4受容体α抗体でありIL-4とIL-13に共通の受容体に結合することで両者のサイトカインの活性を阻害します。このような点からデュピクセントと同様の効果が期待できそうに思えます。

同じ条件の試験データではありませんので一概に比較できるデータではありませんが、皮膚症状が75%以上改善する指標であるEASI75は、16週間後ではアドトラーザ®が56.4%、デュピクセント®が68.9%と、デュピクセントが10%以程度上回っています。両者の評価はさらなるデータの蓄積が必要となるでしょう。

通院頻度

2週間に一度皮下注射となります。スケジュールもデュピクセント®と同じですが、承認して間もないため、デュピクセントの様にご自宅で自己注射することがまだ許可されておりません。しばらくの間は基本的には2週間に一度来院していただくことになります。

副作用

5%以上に認められる副作用として、上気道感染(上咽頭炎、咽頭炎を含む)、結膜炎、注射部位反応(紅斑、疼痛、腫脹等)(11.7%)などが報告されていますが、デュピクセント®よりも結膜炎の頻度は少ないようです。

ネックになるのはやはり費用面でしょうか。アトピー性皮膚炎の新薬はすべて高額です。しかし、アトピー性皮膚炎患者様においては、かゆみによる睡眠障害、集中力の低下、整容面などによってQOLが低下しているケース多いことから、充分にメリットが多い場合は上手に治療に取り入れていくとよいでしょう。

キーワード:アトピー性皮膚炎、アドトラーザ、デュピクセント、経口JAK阻害剤、オルミエント、リンヴォック、サイバインコ、EASI75、高額療養費制度

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