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アトピー性皮膚炎に対する新しい外用薬、JAK阻害剤『コレクチム®軟膏』が承認され(2020年6月24日から使用可能となっています)、当院でもいち早く採用いたしました。
鳥居製薬より提供
2年前のデユピクセント®に続き、日々進歩するアトピー性皮膚炎の治療に目が離せません。
プロトピック®軟膏が発売されたのが1999年ですので、約20年ぶりのステロイド製剤以外の新薬ということになります。
コレクチム®軟膏の一般名はデルゴシチニブ。日本たばこ産業(JT)が製造し、鳥居薬品が販売の純粋にmade in Japanの薬だそうです。
一番下のイラストにまとめた作用機序からしても、とても期待できそうなお薬ではありますが以下のような点がPOINTと考えます。
※日本皮膚科学会がまとめた使用指針を参考にしています。
POINT 1⭐
ほてり感などの刺激感が、コレクチム®軟膏<<プロトピック軟膏®
アトピー性皮膚炎の標準治療として、まずステロイドで強力に炎症を抑えた後に寛解(症状の安定)させ、タクロリムスで寛解を維持していくという『寛解維持療法』が推奨されています。しかし、タクロリムスでは刺激感(ほてり、ヒリヒリ感など)が強くて寛解維持までもっていけない患者さんもいました。JAK阻害薬は、そのような患者さんに対応できる可能性があります。
POINT 2⭐
プロトピック®軟膏同様に副作用が少なく、落ち着いた皮疹の部位のいい適応になる
炎症の強い症例には、これまで通りステロイドが第一選択であることは変わらないと思います。しかし、JAK阻害薬は副作用が少ないので、炎症がそれほど強くない症例などは、今後の使用実績によっては第一選択薬になりえます。ただし、使用量が1日2回(1回5gまで)ですので対象は限定的となるでしょう。
注意点
①現在は15歳以上が適応 ※2021年~は小児適応拡大となり全年齢に使用可能です
現在2~15歳の臨床試験が実施中です、子どものアトピー治療薬は大人に比べて選択肢が少ないですので
コレクチム軟膏が子どもにも使える新たな選択肢になることを期待しています。
②上限量は1回5gまで
③粘膜部やびらん部などには使わない
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