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今回は乾癬治療の特に生物学的製剤について解説いたします。乾癬の生物製剤は約10年前に始めて承認され、その後現在(2021.2)までに10種類の生物製剤が使用することができます。これにより、難治性の乾癬の皮疹や関節症状も改善が大いに期待できるようになりました。
生物製剤の説明の前に簡単に乾癬の原因について簡単に説明します。
明確な原因はまだ分かっておりませんが、
などによって、免疫機能の異常をきたすことにより発症すると考えられています。具体的には免疫担当細胞であるマクロファージ等が産生する炎症性サイトカイン(IL-12、IL-23、TNFα)等によって炎症が引き起こされ、乾癬の症状が発現します。
IL-23はヘルパーT細胞の一種であるTh17を活性化し、Th17が産生する「IL-17A」も乾癬の発症と維持に重要であると考えられています。ちょっと難しいですね。
※マクロファージ、ヘルパーT細胞:免疫担当細胞の一種
【生物製剤の適応となる患者さん】
そして生物学的製剤治療は基本的には、以下のような患者さん適応があります。
【生物製剤の種類】
前述のように10種類もの治療薬が存在しますが、作用機序としては乾癬のkeyサイトカインである、IL-17を阻害するもの、TNFαを阻害するもの、IL-12やIL-23を阻害するものの3系統に分けられます。
その他の基本的な特徴としては、
その他、それぞれ細かな特徴の違いとして、関節症状に特に高い効果が認められるもの、薬剤の効果は早くでるもの、ゆっくり効果を認めるもの、など薬剤ごとに実に様々な報告がされています。
注意事項としては、
どの薬剤を使用するかに関しましては、
などによって、患者さんと相談しながら決定していくこととなります。
【当院での生物製剤の導入の流れ】
当院は、獨協医科大学埼玉医療センター皮膚科と連携しております。皮膚以外の副作用等が万が一起きた時にすぐに複数の科にまたがった対応も連携して対応できますように、原則は導入前の検査や初回投与に関しては獨協医科大学埼玉医療センターで行い、その後当院で継続して加療する形をとっております。薬剤によって当院でも導入可能ですが、導入前の胸部レントゲンと各種採血検査を行ってからの導入となります。
※継続投与のご紹介の場合は初診から投与可能です。
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