コラム
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日本皮膚科学会より酒さのガイドラインが尋常性ざ瘡・酒さ治療ガイドライン2023年(日皮会誌: 133(3), 407-450, 2023)として最近公表されました。今回はこちらと海外で公表されているガイドラインを比較しながら酒さの外用療法についてまとめていきたいと思います。
外用療法は酒さのタイプ(症状)により推奨度が変わります。つぶつぶのは少なく、赤みがメインの毛細血管拡張型では外用療法の推奨度はC2(※1)と低く色素レーザーや光治療などが優先されます。ぼつぼつを伴う丘疹膿疱型ではC1(※1)と推奨度が上がります。ではその外用剤について以下の表のようになっています。
日本 | 海外(※2) | |
メトロニダゾール | A(※1) | 〇〇(※2) |
アゼライン酸 | C1(※1) | 〇〇(※2) |
イオウフルカンローション、他 | C2(※1) | 記載なし |
イベルメクチン | 記載なし | 〇〇〇(※2) |
※1:A:強く推奨する、C1:選択肢の1つとして推奨する、C2:推奨しない
※2:Journal of the American Academy of Dermatology. 2020 Jun;82(6);1501-1510.Tableにて推奨度は〇で記載されています。
日本では0.75%メトロニダゾールである「ロゼックス」が承認されたことから強く推奨されています。日本では臨床の場では保険適応で処方できることからイオウフルカンローションやアトピー性皮膚炎治療薬のプロトピック軟膏などが処方されることもありますが、今回のガイドラインでは推奨しないとなっています。
一方で、海外の報告ではアゼライン酸やイベルメクチンはメトロニダゾールと同程度に推奨されており、処方頻度も高くなっています。メトロニダゾールもイベルメクチンも寄生虫に対するお薬で、酒さの方の原因の一つと言われている毛包虫(ニキビダニ)の増加や炎症性サイトカインを抑制することで効果を発揮しているものと考えられます。
当院では保険適応のロゼックスはもちろん、保険適応外とはなりますがアゼライン酸やイベルメクチン含有クリームを処方することが可能です。酒さは根気のいる疾患ではありますが、色素レーザーや光治療といった機械治療や内服療法、外用療法をうまく組み合わせて治療していきましょう。
また、酒さの患者様の多くはいわゆる敏感肌で市販の保湿剤がなかなか合うものがないケースが少なくないですが、ヘパリン類似物質のヒルドイド系は火照りが出やすくあまり適切でないと考えています。当院ではノンオイル処方のルルスキンシリーズ高濃度セラミドCFジェルをおすすめしております。こちらも是非お試しくださいませ。
レーザー治療や光治療はご予約がなくても当日施術まで可能です。お気軽にご相談くださいませ。
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